レイジさん Unlimited Photo Works

レイジさんの写真談義

第1回 工場夜景とは

こんにちは。工場夜景歴は2012年10月からなので6年ほど。そこそこの枚数を撮ってきたレイジです。

ついったーに一日一枚投稿している風景写真をご覧いただくと、半分くらいが夜の工場を撮った写真であることにお気づきになるかと思います。一般的には「工場夜景」と呼ばれています。

これからしばらくの間、週に1回くらいのペースで、私の経験を元に写真の話をしていきたいと思います。参考になるならないはあるかと思いますが、お付き合いいただければと思います。


ことの発端は2007年に出版された「工場萌え」という写真集だと言われています。デイリーポータルZのライターとしても活躍している大山さんは元から整然と並んだ団地の写真など、人工物の形の美しさを見つけては記事にされていた方で、その人工物のひとつとして、夜の工場に美しさを見いだしたようです。

当初は物好きのマニアックな趣味という感じでしたが、日を追う毎にファンが増え、今では週末夜の工業地帯では必ず撮影者を見かけるほどになっています。


さて「工場夜景」という用語に厳密な定義はありませんが、製油所、化学工場、製鉄所、製紙工場、セメント工場などのプラントを夜に撮影した写真のことです。 

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▲JXTGエネルギー 和歌山製油所(和歌山県有田市

このような工場は、設備を一度停めてしまうと、次に動かすときに温度を上げたり、配管を通る流体を満たさないと操業できないなどいろいろ経済的な問題があるため、従業員三交代の24時間操業としているところが多くなっています。

24時間操業ですから、配管の中を常時液体や気体が流れています。この温度や圧力、さらには配管の損傷がないかなど定期的に点検する必要があるため、作業員のための照明が夜間点灯されます。

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ダイセル 大竹工場(広島県大竹市) 

プラントは数十メートルに及ぶような大規模なものも多いため、工場の敷地外からも撮影することが可能です。

セメント工場は、石灰石などを高温で熱して化学反応を起こし、水硬性の化合物にします。このためのプレヒーターは太いパイプが入り組んだ構造となり、迫力のある写真が撮れます。

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宇部興産 宇部工場(山口県宇部市

しかしながら、工場側としては、見る人が見ると配管に施された独自の工夫などもわかってしまうため、あまり撮影して欲しくないというのが正直なところのようです。

私たちフォトグラファーはどういう気持ちを持って撮影すべきでしょうか。

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ほとんどの工場夜景撮影スポットは、観光地として整備されていません。ですから、他の方にご迷惑をおかけせずに撮らせていただくことが大前提となります。

観光地ではありませんから、駐車場もありません。クルマは路肩に停めての撮影がほとんどになります。夜間でも大型車輌の往来はありますので、とにかくそういった車輌の迷惑にならない場所に停めることが第一です。工場職員の駐車スペースに停めるのももってのほか。十分に配慮してください。

撮影場所。工場内のプラントを公道から撮影するぶんには、それを禁止する権利は法的にはありませんが、無用なもめ事は避けたいところです。前述の通り工場側はあまり撮影されたくないという気持ちが基本にありますので、守衛さんのいる門前で堂々と撮るよりは、すこし控えめな場所から撮ることがオススメです。また工場の人に何か言われた場合は、言い争いすることなく、おとなしく引っ込む方が良いです。

立入禁止の立て札にも要注意。特に工場の私有地に立ち入ってしまうと、不法侵入として警察に突き出されてもおかしくありません。夜で人がいないからこそ、十分な注意をしたいところです。

コンビニで買った飲み物のペットボトルやパンの袋、吸い殻などをその場にポイ捨てして立ち去るような不届き者は今更いないと思いますが、ただでさえ肩身の狭いジャンルですから、規制が強まって自分達の首を絞めることのないよう、マナーを守りましょう。

こちらはあくまで「撮らせていただいている」立場であることを常に意識しておきましょ